障害年金の診断書を書いてくれないケースとは?|社労士が解説
障害年金の手続きには様々な書類が必要となりますが、その中でも担当医師が作成する診断書は、最も重要な書類といえます。
診断書は、専門家であるとともに客観的な第三者である医師が記載した書類として障害年金の受給の有無及び等級を決定する際に最も重視される書類となります。
しかしその診断書を医師が書いてくれないというケースは意外と少なくありません。
医師にもいろいろな方がいます。なかには障害年金のことをよく知っていて、医師側から勧めてくれることもありますが、残念ながら障害年金のことをよく知らない医師や、請求に協力的でない医師も少なからずいらっしゃいます。
医師は年金の専門家ではありません。
しかし診断書を書くことができるのは医師のみです。
なぜ医師は障害年金用の診断書を作成してくれないのか?
作成しない理由を知ることで、話し合いで解決できるのか、請求の方法を変えるのか、転院するのかなど、医師との関わり方が変わってきます。
まずは診断書を作成してもらえない理由を聞くことから始めてください。
目次
⑤まとめ
① 障害年金の診断書を書いてくれる病院とは
通院をしている病院では診断書を書く義務がある
医師法19条2項に診察医師は、患者から診断書の交付請求があれば、「正当な事由」がない限り、交付する義務が課されている旨の記載があります。
従って通常、通院している病院の医師に診断書の作成依頼をした場合は原則診断書を記載してもらえることになります。
② 医師が診断書作成を拒むケース
(ア) 交付の対象者となっていないケース
患者本人、患者の法定代理人、患者本人から正当な委任を受けた代理人以外の第三者が、本人の承諾なしに診断書を直接求めてきた場合はプライバシーの守秘義務から断られます。
(例外)法令上の届け出義務、報告義務等にもとづく場合は例外的に患者本人の承諾は必要ありません。 (患者本人の同意を必要としない第三者提供)
(イ) 病院に通院していないケース
通院回数が少ない場合や通院間隔があいている場合は、診断書の作成を拒まれる場合があります。
精神疾患など長期にわたって診察、経過観察しないと医師が判断しにくい病気や内臓系疾患など検査記録を診断書に書かなければならない病気などの場合は一定回数の通院が診断書を作成するうえで必要になります。
この場合は医師の指示通りきちんと通院をしたうえで再度診断書を依頼したほうが良いと言えます。
(ウ) 正当な理由ではないケース
① 犯罪
「詐欺」や「恐喝」などの犯罪に利用される可能性がある場合
② 虚偽の記載
虚偽内容の診断書を依頼された場合
③ 診療上、重大な支障が出るケース
患者に病名や症状が知られると、診療上重大な支障が生じるおそれがある場合
③ 医師が診断書を書いてくれないときの対応策は?
どうしても医師が診断書を作成してくれない場合で、今後も作成してくれる見込みがない場合には転院することも一つの方法です。
ただ、転院した場合転院先の病院が直ちに診断書を作成してくれるかどうかは分かりません。
医師は転院間もない患者の診断書を作成しない傾向にありますので転院することがマイナスに働くこともあります。
事前に転院先予定の病院に確認を取った方が良いでしょう。
また、病院を受診することの目的は病気を治すためですので、障害年金用の診断書を作成してもらうために転院することは本末転倒ともいえます。
ただ、特に現在実施している病院にこだわりが無い場合でかつ障害年金を受給できる可能性が高いほど症状の悪い方は転院することも一つの方法かもしれません。
④ よくあるケースと対応について
(ア) 病院が廃院してしまったケース
病院が閉院したから5年以内の場合は、法律でカルテが残っているはずです。
カルテが残っていた場合、他の医師にカルテを元に書類を作成してもらったなんて事例もあります。
(イ) 当時の担当医がいないケース
診断書は診断をした医師が作成することとされています。
したがって、当時の医師がいないことを理由に診断書は書けませんと言われることがありますが、このような場合であっても、当時のカルテをもとに書ける範囲で診断書を書いてもらいましょう。
ただし、その場合、あくまで医師の協力を得るというスタンスで話をする必要があります。
(ウ) 病状は悪いのにあなたは受給できないと言われたようなケース
病状は悪いのに医師からは「障害年金が貰えるほどのものではない」と言われたことのある人も多いかと思います。
経験的に認定基準を知っているのかもしれません。
しかしこの場合は医師が考えている病状と本人が考えている病状に大きな差があることも考えられます。
このような時は、普段の診察時に日常生活で困っていることなどをきちんと医師に伝えることで解決するかもしれません。
(エ)「精神科じゃないから書けない」と言われたケース
診断書は原則として、精神保健指定医または精神科を標榜する医師に記入していただくことになりますが、小児科、神経内科、リハビリテーション科などを専門とする医師が主治医となっている場合、これらの科の医師であっても、精神・神経障害の診断または治療に従事している医師であれば記入することが可能です。
(オ)障害年金を受け取ることで社会復帰の妨げになると考えているケース
障害年金を受給することで、社会復帰の妨げになるのではないかと考え障害年金の申請に否定的な医師も存在します。
しかし、障害年金を受給することで経済的な不安が解消されれば治療に専念できる環境になり体調が改善することも十分考えられます。
環境や病状はそれぞれ個人で異なりますので一概には言えませんが、障害年金を受給し、足りない分だけ働くというスタイルも可能ですし、社会復帰への意欲があることを医師に伝えることも必要なことと言えると思います。
(カ)障害年金制度への知識の不足
「うつ病などの精神疾患は対象ではない」という誤解は一般の方にも多いのですが、医師にもあります。
このような誤解は制度の説明をすることで解決すると思われます。
(キ)診断書の書き方がわからない
障害年金の請求のための診断書は障害年金専用の形式の診断書になります。
普段医師が作成する診断書と形式が異なるため記載方法がわからないということもよくあることです。
障害年金用の診断書は、請求者の日常生活を詳しく記載するようになっています。
そのため、事前に日常生活の状態をまとめたり、その他の必要な情報をまとめて事前に提出するなどしたうえで、依頼すると書いていただける可能性は上がると思います。
⑤ まとめ
医師が診断書を作成しない理由は上記の通り様々ですが、診断書なしでは障害年金の手続きを行うことはできません。
診断書を医師に作成してもらう方法として社会保険労務士に依頼することを視野に入れてみてはいかがでしょうか?
障害年金の手続きを専門としている社会保険労務士は医師への依頼の方法も豊富な経験を持っている場合が多いため医師が診断書を作成してくれる場合もあります。
当センターでも医師が診断書を書いてくれないという場合には対応させていただいております。
また当センターが医師に診断書の作成を依頼する場合に最も重視することは担当医師と依頼者の関係を損なわないということです。
障害年金の診断書を作成してもらうために担当医師と依頼者の関係が悪化してしまい最終的に転院せざるを得なくなったなどのことがないよう細心の注意を払いながら依頼をさせていただきます。
診断書を作成してもらえないなどのお悩みをお持ちの方は初回無料の面談を実施しておりますので当センターまでご連絡ください。
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東京障害年金サポートセンター 代表
社労士業務の中でも特に障害年金の申請、特に精神の病気に特化した申請に関し、力を入れてサポートを行っている。